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【スポキャリインタビュー vol.5】関 昌弘さん (流通科学大学硬式野球部GM/流通科学大学 就職部キャリアカウンセラー)

2021年01月13日 00:44

スポキャリ

  • 【スポキャリインタビュー vol.5】関 昌弘さん  (流通科学大学硬式野球部GM/流通科学大学 就職部キャリアカウンセラー)

【スポキャリインタビュー vol.5】

 

学生のこと、就活のこと――

大学の指導者に聞いてみた

 

関 昌弘さん

(流通科学大学硬式野球部GM/流通科学大学 就職部キャリアカウンセラー)

 

[聞き手]

岡 泰秀

(株)スポキャリ取締役会長。昭和50年(1975年)生まれ。京都成章高-大阪体育大。99年4月(株)大阪近鉄バファローズに入社。監督付き広報、2軍チームマネジャーほか、球団社長室に所属し、肖像権委員会、広報業務などに携わる。近鉄球団の整理を担当しながら、オリックスバファローズや東北楽天イーグルスの設立に携わり退社。09年にスポーツマネジメント会社「スポーツカンパニー」設立。上原浩治(元巨人)、建山義紀(元日本ハム)らの日本側の代理人を務め、清水直行(元ロッテ)らの事業コンサルを務めた。

04年よりプロスポーツ昭和50年会を立ち上げ、幹事長を務める。05年より大阪体育大学硬式野球部の助監督を務めた(~17年)。16年からは阪神大学野球連盟の常任理事。

20年より(株)スポキャリ取締役会長

 

刻々と変わる就活の現場、

知っておきたいマナーなど

 

阪神大学野球連盟で現在2部リーグに所属する流通科学大学硬式野球部のGM(ゼネラル・マネジャー)を務める関 昌弘氏はそのかたはら、大学では就職部で学生たちの就活、キャリア形成に力を注いでいる。

一般財団法人 日本能力開発推進協会が審査する「キャリアカウンセラー」の資格を有し、幅広いスキルをもって学生たちの就活支援、相談にも応じている。そんな就活の第一線に立っておられる関さんに今、就活の現場で起きていること、その取り組みなど、具体的な話を聞いてみた。

★会社をよく知らずに就職、結局離職率が高まる

 

これまでも再三、この項で取り上げられてきたことだが、小さなころから野球一筋、指導者や親に言われたままに進んできた子どもたちは多い。それは野球でうまくなるため、強い学校に進んで甲子園に出場する、あるいは将来的にはプロ野球や社会人野球に進んで、いわば”野球で生計を立てる”ことを望んでいる子や、親御さんが多いということでもある。

関さんはそのことを危惧する。

「敷かれたレールをずっと歩いてきた子は、自分で考えないことが多い。体育会の学生に限らず、一般学生でも同様です。指導者に言われたから、この学校に行きました。そういう子は、就職でも同様で、自分でよく調べることなく、勧められたから入る。そういう子たちが結局、離職率が高くなっているという現実がある」

今の時代、良くも悪くもネットなどを介して、情報は簡単に手に入る。しかし、その表面だけの情報を手にして、詳しくは分かったわけではないのに「知った気になる」学生も多く、いざ、その企業に就職して働いているうちに、「あれ? なんか違うな」、「こんなはずではなかった」と違和感を持ち、結局会社を辞めてしまうということが、関さんによると「最近、特に多いと感じる」だという。

「安易に、“指導者や親に相談すれば何とかなるやろ”と思っている子が意外に多い。私は、学生に対しては”まず、自分で探せ“といいます。スタートはそこから、いきなり”こんな企業があるぞ”と教えてやるようなやり方はしません」

言葉を変えれば印象は変わる。事細かに教えてあげて、就職まで決まれば「面倒見がいい」といわれるかもしれない。しかし、そこまでするのは「過保護」ではないかと関さんは強調した。

「就職した後は、面倒も見られませんから、安易にはできません。まず自分で考えてほしい。そのうえでの相談ならいくらでも乗ります」

この日の講演の中でも話されたことだが、例えば、自分自身がずっとスポーツをしてきた関係もあって、自分が愛用してきたグラブやバットを製作しているスポーツメーカーへの就職を希望する学生が少なからずいる。しかし、名前は知っていてもその実態を知らない子が思いのほか多い。スポーツメーカーといっても、それぞれの職種があり、みんながみんな製造現場や、スポーツ選手とのアプローチを仕事としているわけでもない。そういうことを知らない。下請けとなる外部の社が製造をし、自分が名前を知っている会社では営業が主立った内容だという会社もあるのだ。

 

★コミュニケーション不足で他人と話ができない

 

関さんが心配していることはほかにもある。

「コミュニケーションがうまく取れない子が増えていると思います。人とのあいさつができない子。例えばです。うちの学生の話で、他校はどうかはわかりませんが、就職部の部屋に入ってきて、挨拶もなし。ぬーっと僕らの前に立って黙っている。こちらから”なんですか?”と声をかけてあげないと、自分からは何も言わないという子がいるんです」

それは一般学生も同じ。

「用事があって来ているわけですよね。だから、自分から“すみません”とか“ちょっといいですか”とか言ってきそうなものだけど、何も言わない。だから、心配して就職部の職員が声をかけるんですけれど、そこまでするのが、いいのかどうか。ちょっと、迷っているところでもありますね」

体育会学生は、その点、まず挨拶くらいはできるのではないかと思うし、それが一般学生に対してのアドバンテージになっているような気はするが、実際はどうなのだろうか。

「一般学生に比べたら、少しはアドバンテージになっている気はします。しかし、部員の中にもいろいろあって、例えば野球部でいうと、自分のプレーに迷っても自分で悩みを抱え込んで解決策がなかなか見つからない選手がいるし、一方で、すぐに指導者などに聞きに行き、解決する選手もいる。引っ込み思案というか、自分をうまくアピールできない子もいるし、それは、体育会学生だからみんな優位ということはないと思います」

コミュニケーションをうまく取れないということでいえば、ツールとしてSNSを使った場合においても言える。

「まず、電話を嫌がる。企業の人事の人と約束を取り付ける、確認をする。そんなときでも、メールではだめですか、LINEではだめですか、という質問をよく受ける。そういうことが当たり前になっている現実を受け止めないといけないのかもしれないけれど、こちらから発した情報に対しても、名前も書かずに、いきなり”分かりました”と返事だけ来る。就職部として、一括して流している情報に対して、名前も書かずに、いきなり”分かりました”では、“お前、だれやねん?”ということになる」

そういう、ある意味、常識やマナーといわれている部分を欠いている子が多いことを実感しているのだというが、その解消のため、数年前から、練習をする機会を増やしているとも言われた。

「そういうセミナーを用意したり、面接の練習をしたり。一人に対して、多い子には20~30回の練習の機会を与えたりもしています。そうすると、全然しゃべれなかった子が回数を重ねるうちにしゃべれるようになる。そういうのも大事かなと。そういう会では、就活、面接におけるマナーなども指導します」

例えば、足元の靴下の話。会社訪問に行く際にスーツの上に羽織ったコートを脱ぐタイミング。今回の講演の中でもこんな話が出てきた。

「最近の流行でもあるのだろうけれど、スーツの下に、くるぶしまでのショートソックスをはいている人が結構いる。それは面接のときに、面接官と対峙して座ったときに、まるで素足にスーツを着てきたと思われる。流行ではあっても、それは年配者の多い面接官の前では認められない。“ダークスーツにはダークソックス”、それは基本です」と。

「だから、紳士服メーカーの人を呼んで、スーツの着方はこうだよ、女性の化粧はこういう風にするんだよと、講習会を行う大学もあります。就活に関しては、一部の特殊な企業は別にして、個性やおしゃれは必要ないということを教えなければならない」

 

★オンラインの習熟は今や必須となった

 

今、就活をサポートする立場の指導者たちが対応に悩まされていることは何だろう。

「一番は、オンラインに対する対応ですね。今の4年生はオンラインといっても本人も企業側も初めてのことだったから、音声が途切れるなどのアクシデントがあっても、気にしないでいいよとか焦らないで、とか対応が優しかった。それがこの1年で過ぎて、ある程度見透しが立ったから、”今年は行きまっせ!”という企業が増えた。だから、3年生、これから本格的な就活に入る人は相当な覚悟、対応をして臨んだほうがいいと思う。そこでつまずくと、せっかくのチャンスを逃すことにもなる。就活だけではなく学業においても、前年までしっかりと単位を取っていた学生が、この1年でほとんど単位を取ることができず、理由を聞くと“オンラインがうまくいかず、面倒くさくて、あきらめた”という子もいたんです」

勉強をしたくても、オンラインへの対応が不十分で続けられなかったとしたら、それは残念な話だ。急激な時代の変革だったとは思うが、その対応をちゃんとしないことには、社会にすら出られない、不本意な話かもしれないが、それが現実でもある。

好きだ、嫌いだ、などと言ってはいられない。実際にトラブルはあったとしても、学生にとっても、もちろん企業にとっても、それを乗り越えたということは、今後、例えばコロナが終息したとしても、このオンラインでのやり取りはまた、就活や授業などでそのまま取り入れられる可能性は高い。

「我々もまた、変わらないといけない。それに合ったイベントを、大学を含めて対応しなくてはならない。流通科学大では、いくつかのグループに分けて、一泊の合宿でそういう指導する会を企画しています。企業の人事の担当者を招いて、企業人事側の目線から、志望動機とかのアドバイスを話してもらったり……」

就活の現場は、刻一刻と進歩を続けている。学生にとっても、その対応に苦労することも多いと思うが、乗り越えたのちには、輝ける未来があると信じて頑張ってほしいと、”先輩”たちは望んでいる。

 

 

◆就活のためのキーワード

1・まず自分で進みたい企業を探そう

2・マナーの習熟は自分が思っている以上に大事

3・オンラインへの対応はすでに不可欠となっている

 

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